被相続人から不動産を相続すると、法務局で所有権を名義変更する登記の手続きが必要になります。こうすることで、第三者に対して土地や建物の所有権を主張することが可能になります。また不動産の売買や担保設定をする際にも、取引相手が契約の可否を判断するために、登記情報を重視するのが通常です。さらに後の世代に相続が発生した場合も、登記された相続不動産であれば、スムーズな遺産分割協議が期待できます。

このように相続登記は不動産取引や相続の上で、必要不可欠な手続きと言えます。しかし実はこれまで、相続登記は必ずしも義務にはなっていませんでした。そのため未登記のまま長年にわたり放置されていた、所有者不明の土地が全国各地で様々な問題を引き起こすことになります。例えば空き地や空き家が増えることで、地域の治安や防災に対するリスクが高まったり、大規模な都市再開発が妨げられる、国や地方自治体で公共用地として活用したくても、工事が進まなくなる等、このようなケースが目立つようになります。

また個人間の取引レベルでは、相続が発生して相続不動産を処分したくても、相続人の権利関係が複雑化して困難になる、登記が無いので売却や担保権の設定ができない等、このようなケースはまさに典型例です。深刻化したこれらの問題を解消すべく、国では2024年4月1日から相続登記の義務化を決定します。この義務化によって、相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内に登記を済ませないと、10万円以下の過料を求められる可能性があります。また義務化に先行して2023年4月27日からは、相続土地国庫帰属制度も開始されます。

これは不要になって登記しない土地を国に返す制度です。

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