土地や住宅などの不動産を持っている人が亡くなった場合、その所有権は相続人へと移ります。親が亡くなって子供が家を相続するなどはその代表的な例ですが、この時、子がその家にそのまま住み続けるというのであれば、特別な手続きは必要ありません。ただ、たとえば家を第三者に売り渡そうとする時などは、所有権の移転が登記されていないと売買契約を取り交わす際に支障を来たします。相続によって不動産の所有権が移転したことを登記簿に記載することを、一般に相続登記といいます。

この相続登記ですが、以前は手続きを行うかどうかは相続人の裁量に任されていました。しかし現在では法律の定めるところによって義務化されており、正式には2024年4月から義務化が施行されます。その規定によると、所有権が移転してから3年以内に相続登記をしなければならないとされています。2024年3月以前に相続した分にも適用されるので、注意が必要です。

相続登記が義務化された理由はいくつかありますが、1つは冒頭に述べたような、不動産売却時などにおけるトラブルを未然に防ぐためです。しかしさらに重要なのは、所有者が不明のまま放置されている不動産にまつわるトラブルを解決するという目的です。いわゆる「空き家問題」に象徴される通り、誰も住んでいないし誰が所有しているかも分からない住宅は年々増加しており、自治体等は対策を講じようにも所有者に連絡を取ることさえできないのが現状です。相続登記の義務化は、所有者に関わる情報を常に最新の状態にアップデートしておくことで、こうした問題の解決に役立てることを意図しています。

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